このひとにこのテーマ

「子どもの創造力を伸ばす」

モック子ども造形教室 白石 公二

2008年10月号

30年以上、5歳から小学6年生まで対象の造形教室を4ヶ所で開いています。1000人以上の子どもと接してきて、また彼らが学生・大人になって教室を手伝ってくれる姿を見てきたことからお話するんですが、「子どもらしい創造力を活かして」「感性を刺激する」とか、「創造力、表現力を伸ばす」とはどういうことか。伸ばすにはどうしたらいいのか。実はこれが一番、難しい質問なんですね。強いてまとめれば「大人はゆったり、待つ」「子どもは五感をつかった体験を積み重ねる」ことでしょうか。

 小さな子どもに描く道具を持たせると、やたらめったら描きたがります。絵本にも親の大事な書類にも壁にも家具にも…。描く作業が単純に楽しいんでしょうね。少し大きくなると、丸が描けるようになります。○を組み合わせると、顔になります。もう少し大きくなると顔から手足が出てくるようになります。虫や花や車など自分なりの「何か」を描くこともできるようになります。その辺りから、大人は子どもに「〜を描け」という要求をしたり、幼稚園・保育園でのお絵かきの教育も始まってきます。

 その時に、子どもが「何を」「どうして」描きたいのかゆっくり聞き出してやると、子どもは自由に表現を始めます。心をほぐし、心を動かすような状況まで子どもとの会話の中で持っていきながら、描きたいという自然な欲求を引き出します。僕の教室では、世間話から始めて僕の子どもの時の体験談なんかを交えて子どもと会話してなんとなくイメージをふくらませてから、その日のプログラムに進んでいきます。

 一方、例えば「運動会の絵を描きましょう」等、結果が見える絵は指図しやすいですし、時間内に終わりますから指導もやりやすいのですが、子どもが自由になるのは難しいようです。指図や評価が重荷になると、子どもは萎縮してますます表現できなくなっていきます。結果がすぐわかるものはラクですし、テクニックがつくのはわかりやすいので、それを求めがちになるのですが、それは今やらなくても、後からついてくるものです。
 
 かきたい、つくりたい、表現したい、工夫したいと思うには、まずは自分の周りのことへの知識と経験をつけることが土台になります。生活の中のいろんなことに何だろうと疑問をもって、見たり、聞いたり、さわったり、調べたり。五感を使って何だろうと感じて行動するんですね。するとそのものへの見方が変わります。漠然と見ていただけだったのが、整理される。そして何かに困ったとき・どうしようかと思ったとき、例えば工作だったり絵をかくときに、その経験や整理された知識をもとにして工夫しようという知恵が生まれるんですね。それが創造だったり表現だったりするわけです。大人はその時に少しアドバイスすればいいんです。逆に知らないものは描けません。よく「鶏に4本足をつけた絵をかいた子どもがいる」と非難されることがありますが、見たことがなら、知らないなら描けなくたって当然です。
 
 小さい子どもには、まわりのことすべてが新鮮な経験です。生活の道具も、道端の草も虫も、通りすぎるのではなく、親子でゆったり散歩しながら、道草しながら、眺めてさわって楽しんでください。そういったいろんな経験が表現の土台になります。(取材・構成:PAKUっ子編集部)

お家でやってみよう


  • 汚れるのがイヤなら、2畳分のビニールシートを用意。
  • 道具はクレヨンでも水性マジックでもなんでもOK。
  • 画用紙でなくてもいい。チラシの裏面、カレンダーなど大きめの紙にしよう。
  • 子どもの腕の動く大きさにあったサイズの紙を…小さい紙では描きにくい。
  • 子どもが「もう描いた」と思ったら、それで終わり。
  • 「よく描いたね、すごいね」と褒めよう。
モック子ども造形教室 http://nskk.org/chubu/nyc/activities/mokku

火曜 名古屋学生青年センター(昭和区宮東町)
水曜 OKハウス(天白区池場)
木曜 金城学院幼稚園(守山区)
金曜 ルーテル幼稚園(豊田市)

08年10月号

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