子育てほっと情報

絵本のあるくらし

kodomiru 石丸良枝


kodomiru文庫 火曜15時半~17時半。御幸山の主宰者自宅にて。塩竈神社そば、Pなし。予約不要、無料。
http://www.kodomiru.com/

はじめに


 中2の息子、中1の娘、小4の双子娘と年長の娘の合わせて5人の子どもと、絵本を楽しみながら子育てしてきました。始まりは、長男の出産祝いでいただいた2冊の絵本。それが気づくと1000冊以上にもなって、今ではそれらを活かして絵本や児童書を貸出しする家庭文庫を開いたり、小学校や地域のサロンで読み聞かせをしたり、絵本ブログや子どもと大人が楽しめるイベントを企画開催するようになりました。自分の子育てを振り返りながら、絵本のあるくらしについて書かせていただきますね。


 わたしは29歳で長男を出産しました。長らく勝手気ままな大人の生活をしていたこと、絵本の良さを思い出すのに時間がかかったこと、シュタイナー教育にも興味があったことで、残念ながら長男は最初、絵本に接する機会はあまりありませんでした。シュタイナー教育では言葉で聴いて想像する力を大事にするので、早くから絵本にふれることに戸惑いもありましたが、『うれしい気持ちの育て方 絵本と私とシュタイナー』(松井るり子、ほるぷ出版)と出会い、絵本のある子育ての楽しさを改めて実感しました。


赤ちゃんのころ


 0歳だって絵本を楽しめるんですよ。長男は、最初は乗りもの絵本に夢中でした。でも11ヶ月頃には、身近なものが題材の絵本に興味を示すようになりました。林明子の福音館あかちゃんの絵本シリーズがどれも大好きで、『おててがでたよ』を真似て、わたしがわざと「手はどこだ?」とやりながら服を着せてあげると、声をだして笑いました。ようやく歩けるようになった1歳ちょっとの時には『くつくつあるけ』を読むと、必ず自分も真似て転んでいました。『きゅっきゅっきゅっ』では、ぬいぐるみを横に置き、一緒にごはんを食べ、終わると「ごったま」と言っていました。話すのが遅かった息子は、いつも小さな人差し指で「もういっかい」という仕草をしてお話をねだっていました。


 それを見ながら育った年子の娘は、息子よりも早くしゃべり、早く歩き、色々な興味を持っていました。6ヶ月の時、『いないいないばああそび』(きむらゆういち、偕成社)を親戚の小学生が読みはじめると、娘の表情が何度も変わり、見ていて面白く、みんなで笑っていました。


 3年後に産まれた双子達が赤ちゃん期から保育園にあがるまで夢中になったのは『ごくらくももんちゃん』(とよたかずひこ、童心社)。温泉でもどこでもお風呂に入ると彼女たちが必ず「ごくらく、ごくらく」と言うからおかしくてしかたありませんでした。そしてももんちゃんのように、タオルを広げて身体をふいてもらうのが大好きでした。


 末娘が3ヶ月の時です。『まるまる』(中辻悦子、福音館書店)を絵本屋さんで読み聞かせしてもらったら、最後の頁で「くすっ」とはっきり笑ったのです。あのときは「わたし、まだまだ絵本のことわかってない」と、新たな気持ちでもっと赤ちゃん期からの絵本にまじめに取り組もうと思った瞬間でもありました。二つの目でようやく視点があいはじめたばかりの月齢には『まるまる』はとても成長に適した絵本だ、という説明も受けました。その後、わたしは絵本・児童書の通信教育を受けたのですが、そこで、視力が安定するまでは、画面の移り変わりが早いTVよりも絵本を見せてあげた方がいいことも学びました。しかも視力がきちんと安定するのも7歳頃だということも知りました。


 同じく末娘が6ヶ月の頃、『もこもこもこ』(文研出版)で有名な元永定正の『おおきいちいさい』が福音館書店の月刊絵本「こどものとも0、1、2」10月号で発売されました。この絵本は音も絵も全てがお気に入りで、わたしも夫もそれこそ何十回と、大袈裟でなくもう勘弁してくださいというほど一日に何度も読まされました。それに娘は必ずその本をかじっていました(笑)。だから本の四隅には角がありません。うちの文庫に証拠として置いてあります。小さな子は、気に入った絵本ほど破いたり、食べたりするようです。

 8ヶ月の時には『もこもこもこ』の、ぱくっと食べられる頁の周りをぐるぐるとはいはいしながらお尻からその中に入ろうとしていました。最初なにをしているのかわかりませんでした。だって、寝床を決めかねているワンコのようだったんですもの…。
 子どもたちがちょっと大きくなって愛知県美術館に行ったときのことです。元永定正の大きなモダンアートの絵が展示してありました。子どもたちが作者名を見る前に「あ、もこもこの人の絵だ!」と指摘した時は驚きました。子どもたちもそんな有名な人の絵本だったのかと驚いたようです。有名な画家の挿絵が手頃に買え、いつでも鑑賞できる…こんな贅沢な芸術体験は絵本ならでは、でしょう。


『アンナちゃんなにがみえた?』(インゲル・サンドベリさく、ラッセ・サンドベリえ、きむらゆりこ訳、ポプラ社)は、アンナちゃんが背の高いおじさんに抱っこされて初めて見える景色が描かれたものですが、高い場所というだけで子どもは憧れます。


このシリーズの『ラーバンとラボリーナの「はぁい、いますぐ」』は、汚すたびに母親に「お風呂に入りなさい」と言われても、のんきな返事を繰り返すばかりのラーバンたちがおおいに汚した後でやっとお風呂に入るまでを絵本にしたもの。この流れは小さな子どもがいる家庭でよく見られる母と子のやりとりではないでしょうか。何度、今しなさいと言っても生返事ばかり…。でも、いざとなると母親も子どもに生返事をしているものです。絵本も同じラストになっていますが、最後の母親のオチはどうぞお手元で一度ごらんになってみてください。アイタタタと思う人はわたしだけではないはず。


絵本と子育て


 絵本を読んであげるときに一番大事なことは、読み終えたあとに「ほら!」とは言わないことです。「ほら!」と言ってしまうと、絵本の言葉が瞬時に親の意見になり“説教臭い本”になってしまうので要注意です。“子どもに何か気づいてほしい、考えてほしい”そう願っても、大人の意図に気づくと子どもは拒否をします。我が家では3歳、5歳、9歳の反抗期の時ほど、絵本の言葉が活躍しました。さらに上の子2人を見ていると、思春期のときほど、親ではない大人の言葉の方が、素直に理解できるようです。

我が家の場合、9歳頃の反抗期では、素直に親に甘えられず、下の妹に読んでいても聞き耳は立てていても絶対にそばに寄ってきませんでした。そういう時は、わざと興味深い本を読むことにしました。すると後でこっそり読んで笑っています。我が家で大効果があったのは『キスなんてだいきらい』(トミー・ウンゲラー作、矢川澄子訳、文化出版局)でした。同年代のパイパーが思いきり反抗する絵本です。読んでいて面白くてすっきりします。中学生になった今では意外に『いやいやえん』の主人公、しげるが破った約束をネタに、話しに花が咲きます。


 どの時期も反抗期をうまくかわす秘訣は、一緒に絵本を読むこと、または子どもが読んでいる本を自分も読むことです。なぜならその本の世界だけは、誤解のない事実を共有できるからです。本をもとにした会話から、子どもの学校のことや、困っていることを聞き出せるかもしれません。友人の高校生の子は『おだんごぱん』(せたていじ訳、わきたかず絵)をいまでも暗誦できるそうです。こういう思い出が親子のベースにあると、反抗期も怖くないなと思います。


絵本は子どもの根っこ


 我が家の家庭文庫には1000冊以上の蔵書がありますが、それぞれの子どもたちが愛読した絵本は限られています。お気に入りは、まさに少数精鋭の絵本たちです。ですから家庭でたくさん絵本を持つ必要はないと思います。図書館や家庭文庫などを利用して、子どもが何度も借りたがる絵本をどうぞ買ってあげてください。それはその子にとって永遠に力をくれる心の友になってくれるはずです。


とっても大事なこと!


 子どもは大好きな絵本ほど、本屋、図書館、児童館など、どこに行っても必ず親のところに持って来て「読んで」と言うかもししれません。または同じ本ばかりずっと読んでいるかもしれません。それは、それほど好きだという証です。もうひとつは、確かめているのです。自分の大好きな家にある本と、ここにある本は同じなのか?と。以前文庫で、返却の時に小さな子が「これ、うちのとおんなじだった。絵も全部おなじだった」と半ば驚き、半ば納得したいい方が面白かったのを覚えています。


 赤ちゃんの絵本は子どもがいくつになっても、小さいころに帰れる場所だと思って、本棚にスペースを残してとっておいてあげてください。たとえ1冊でも…。大人だって疲れる時があるように、幾つであろうと子どもには子どもの帰りたい場所があるのです。


 そして幼児期には、どうぞ、その時しかできない「お膝読み」をしてあげてください。子どもがお膝に座って、親が本を読んであげる幸せは、ごくごく限られた時期しかありません。お膝のぬくもりは幾つになっても忘れることはありません。わたしは自分の子どもたちを背中から「大好きよ」という思いを込めて抱きしめてあげるのが、実は正面からの抱っこよりも好きかもしれません。緊張している時、力が抜けて行くのが正面よりもわかります。実は小4の子どももたまにお膝に乗せます。照れてますが嬉しそうです。

 さあ、子どもと頁をめくって、どこにでもいけ、何にでもなれる世界を一緒に楽しんでください。幸せな気分になることを保証します。その魔法の秘訣は、一緒に楽しんで読むこと、です。


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