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ためし、ためされ、子を育て、子が育つ

子どもも1歳を過ぎると、いろいろフクザツになっていきます。大人は必死に子どもをしつけようとしますが、子どもは子どもなりの思いを発達段階ごとに発信しながら成長していくものです。1歳から3歳くらいでのあれやこれやをご紹介。ちょっと知っておくと、その時が来てもどーんと構えて受け止められることもありますよ。


1歳前後 探索活動


 1歳前後にあんよが始まって自分で動き回れるようになると、周りのものすべてに興味を持ちます。「こうすればこうなる」という認知も発達し、実験するかのように何度も同じことを繰り返します。ジブンの身体を使ってやってみたい、確かめたいという意思の発現なのです。モノを投げるのも、ママを困らせようなんて悪気ではありません。


1歳半~3歳頃 イヤイヤ期


 あんよが上手になった1歳半から3歳前くらいの時期、「魔の2歳児」という言葉も聞いたことがあるでしょう。親の言うことはなんでもイヤ、食事も着替えもお風呂も全部イヤ。逆に、ダメっていってもジブンで!と自我が出てやりたがる。できなくてかんしゃく起こして、ママをぱしぱしたたいたかと思うと、ママがちょっと離れるだけで、すがりついて泣いて甘えたり…。自分の気持ちを言葉でうまく表現できないジレンマや、思い通りにならないこともあるという負の感情を、まだ自分でコントロールできないんです。


下の子ができると…赤ちゃん返り


 このタイミングで下の子が生まれる家庭も多いでしょう。下の子のお世話でかかりっきりになるママの姿を見て、ジブンも同じようにかまってほしいとおっぱいをねだったり、着替えやトイレなど今までひとりでできていたことを急にしなくなって、世話を求めたり。急に聞き訳がなくなったわけじゃないんです。できなかった頃の自分に戻って「ここにも、あかちゃんがいるんですよ~」と、まじめにアピールをしてるんです。


ライフイベントの時期…身体からのSOS


 保育園や幼稚園の入園、ママの職場復帰、卒乳やトイレトレーニングなど子どもがそれまで毎日安心して過ごしてきた生活環境が、がらっと変わるタイミングも訪れる時期です。「行きたくない」「おなかいたい」「きもちわるい」など不安定になって、体調の変化を見せることも。仮病じゃないの、うそじゃないの、本当にイタイんです。


2~3歳頃 言葉の発達≠理解


 言葉がどんどん発達していく時期でもあります。「走っちゃダメ!」とか「スプーン取って」とか言葉での指示が通るようになってきます。これだけおしゃべりするんだから、大人の言うことは全部理解しているだろうと、理由や道理を言葉でくどくど説明してしつけようとしがちですが、実は子どもはわかっていない。「まだ赤ちゃんだから、お兄ちゃんがガマンしてあげてね」「うん、わかった」と言ったそばから、下の子のおもちゃを取り上げるなんてことは、日常茶飯事。

自己主張と自己抑制 


 ジブンが!という自己主張は2歳~3歳くらいが激しく伸びますが、ガマンする自己抑制は少しずつ発達していく(脳の前頭前野の発達)ので、最初は自己主張の方が目立つのです。「このオモチャはボクも使いたいけど、○○くんも使いたいんだね」などと相手の立場に立って考えることができるようになるのは4歳以降と言われています。「ボクが使ったおもちゃは、ボクの!」が3歳の正当な主張。


おふざけとおためし


 子どもが大人をちら見しながら、ぽいぽい~っとモノを投げたり、机に乗ってみたりすることありませんか?「ダメでしょ!」と怒られるのを期待しているかのように…。これは信頼関係の築けた人に甘えたい気持ちからくるおふざけ行動です。「大好きなママだから、ダメって怒っても、また笑ってくれるもんね」「悪いとわかってるけどさ、楽しいからさ、やっちゃうんだよ」とつい誘惑に負けてしまった状態です。「みてる?やっちゃうよ?」のような表情で大人の顔を確認する姿の底には、相手への安心感があります。

 一方、大人がいやがるとわかっていることをわざと繰り返し行うことがあります。大人を困らせようとしながら、大人の顔色をうかがい、どんな反応をするか、そしてこんなジブンでも受け止めてくれてるのかを確かめているかのような表情を見せます。おふざけとも、赤ちゃん返り、イヤイヤとも違う愛情確認の「おためし」です。
 これは知らない人や新しい場所に向き合ったときにも見られます。「この人はこういう時に怒る」「この場面ではこれをしちゃいけない」「こうすると褒めてもらえる」など、新しい環境を自分なりに把握するためにいろんな行動をして相手の反応を確かめているのです。お家では自分だけを見てくれる親がいて、大目に見てもらえたり、怒られてもすぐに笑ってだっこしてくれて大丈夫だったことが、この人には通じるのか。例えば保育園では、周りに同じようなことをするコドモがいるけど先生は自分だけを見てくれるのか、ガマンしなきゃならないのか、どうすれば見てくれるのか、怒られるのか、ジブンの中での判断基準を作ろうとしているようです。

試し行動
○歳になると…というわけではなく、思春期や大人にも一部見られるのですが、親しい人にわざと嫌われる、傷つける、怒られるような態度をして、その上で相手の反応を観察する行動が見られることがあります。「こんなことまでしても、相手はジブンのことを好きでいてくれるのか」と愛情を確かめようとしているんです。根底には見捨てないで欲しいという強い不安があるようです。

親以外に対しても見せるの?


 親に対してだけでなく、園の先生など身近な養育者にも見せる行動です。
保育士さんに伺いました:「担任やお友達などの環境が変わる4月に、お試し行動が多いです。甘えてみたり、新しい先生の近くで噛みつきをしてみたり、友達のおもちゃをとってみたり、大人の話を無視してみたり…。わざと困らせる行動をしています。こちらが若手だろうとベテランだろうとやります。担任以外の先生の前だと噛みつきもひっかきもしないくらい、大人に応じて態度が変わる敏感な子もいます。」
 「集団の中でもいろいろなお子さんがいます。この程度で泣く?と思う子もいて、それを受け入れすぎていると今度はただのワガママな子になります。一方、ガマンをジブンの中で少しずつ貯めて、たまりすぎると急に1時間とか泣きつづけてしまう子もいます。子どもにとって、どの程度で不安を感じるかはそれぞれ。甘えたい思いをストレートに行動に出してしまう子もいれば、うまく表現できない子もいます。園でがんばったのでお家では甘えん坊になる子もいれば、お家でがんばりすぎて園では先生にべたべた甘えたり、やってほしいとねだったりする子もいます。どちらか一方の姿で判断していくのでは気付かないこともあるので、担任としては色々な方法でお伝えしながら、お家での様子を伺うようにしています。」


じゃあ、どうする?


 イヤイヤも赤ちゃん返りもおためしも、対応にとまどいますよね。感情的に怒ってしまったり、ご機嫌をとってみたり、「もう知らない」と無視してみたり、子どもだから何を言っても伝わらないとあきらめてしまったり、またかと対応がめんどくさくなったり、子どもも親もイライラして自己嫌悪に陥ったり。感情をいちいち刺激されるエンドレスなストレス。相談しても「成長の過程だから、見守って」と言われて先が見えなくて落ち込んで、あげくには「もっと愛情をかけてあげてください」という言葉をかけられた日には、ダメな親だと子育てに自信をなくしてしまいそうにもなりますよね。
 じゃあ、どんな対応をすればよいでしょうか。保育士さんは…:
「見て欲しい、かまって欲しいという愛情確認、成長過程のひとつだとは思いますが、ターゲットになるのは大人でも精神的な負担が大きくて辛いことがあります。対応にてこずる場面もありますが、子どもが悪気で考えてやっているというより、危機を感じて本能で身と心を守っている感じなので、他の先生とも協力して、思いを十分満たして安心感を与えるような対応をします。」
 「それは悪い行動だよ、でもアナタのことを嫌いになったわけではないよ」と伝え続け、「この先生はこんな先生だ、ジブンの気持ちを受け入れてくれる」と子どもが納得し、お互いに信頼関係が築けるとだんだんと落ち着いていきます。園でもお家でも、子どものそばで感情に寄り添っていくことで、行動も落ち着いていくのだと思っています。」 


例えば、こんなとき


・子どもが悪い事をしたら…:絶対に受け入れられないことをしたら、はっきり短く「ダメ」と伝える。
・叱るときは…:「だからアナタはだめなんだ」と人格を否定するような言葉は使わない。「悪いことは悪いからダメ」だけど「アナタのことは大好きよ」と伝える。
・子どもがワガママを通そうとしたら…:筋が通っていなくても子どもなりの主張があるはずだから、大人が冷静な態度で子どもの話を遮らずに聴く時間をとる。
・怒れちゃったら…:とりあえず大人の方が自分のスイッチをオフにして、子どもへの対応を一度、白紙にする。一呼吸おいて冷静に考える余裕を取り戻す。
・おなかいたいと訴えてきたら…:「おなかいたいのね」とまずは受け止める。「ほんとに?トイレは?薬は?お医者さんに行く?」という具体的提案でたたみかけるのではなく、「いたいのね」と受け止め、子どもが何かを言おうとするのを待つ。
・ふとした瞬間に…:横に座ってきたらボディタッチで微笑み返す。なんだかわからないけれど、しくしく泣きつづけているときは、そばにいて、泣いてる姿を受け止めつづける。何か言いたそうな気配があったら抱きしめて、子どもが落ち着くまでそばにいる。話を聴く。


ためしためされ…


 感情のぶつけあいでもなく、子どもに対峙することを恐れて何もしない(無視する、なかったことにする、他のことで気を紛らわせる等)のでもなく、大人は子どもの姿を受け止めつつ、大人の思いを子どもに伝え続ける。子どもは大人のそういう姿を見て必死に考えるでしょう。子どもはまだ、自分だけでは自分の感情も生活もうまくコントロールできません。大人に助けてもらわなければ生きていけません。愛されているか、自分がここにいてもいいか、絶えず確かめたい。その根本的な欲求を、意識的に受け止める時間と態度をとってあげる対応が大人には求められます。子どもよりも生きてきた時間が長い分の経験と、余裕と、冷静さと、対応の引き出しを使いこなしながら、彼らの直球的な愛情表現に情愛で応えていきましょうか。 
 毎日の生活の中でためし、ためされる経験を互いに少しずつ積み重ねながら、親も子も成長するんですよね。


2018年5月 発達 試し行動 おふざけ


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