PAKUっ子特集アーカイブ

家族の一大事!二人目うまれる!上の子どうなる!?

 ある調査によると、二人目の子どもを出産後のママのお悩みごとは「睡眠不足」や「二人分の子育てと家事との両立」よりも「上の子の赤ちゃん返り」を挙げた人の方が多いのです。二人子育て、いったい何がおこるのでしょう?


二人目は2歳違い、三人目は年子…?


 「平成30年度版少子化社会対策白書」(内閣府)によると2016年、出生時の母親の平均年齢は第1子で30.7歳、第2子は32.6歳、第3子は33.6歳。第1子と第2子の差は1.9歳、第2子と第3子は1歳となっています。ママ達が生まれた頃の1985年は、それぞれ2.4歳、2.3歳であったので、今は下の子を生む間隔が短くなっています。とすると上の子は1~2歳の頃。まだまだお世話が大変でイヤイヤ期まっさかりの時期。相当いろいろありそうです。


上の子どうなる?!


 出産でバタバタするときでも上の子の生活がスムーズにいくようにいろいろ準備して、心のケアにも手を尽くしたつもりでも、いざ下の子が生まれると、上の子はなんだか不機嫌。先輩ママの声です。

「下の子の出産に上の子も立ち会いましたが、何が起こったのかわからなかったようでポカーンとしてました…」
「上の子は、自分をアピールすることに必死になりました。ママ以外の大人にも超甘えるようになった…」
「下の子に興味があるのか、敵と思ったのか、下の子は上の子に噛みつかれ、ひっかかれて傷だらけでした…」
「もっといいお兄ちゃんになってくれると思ったのに…」


上の子のキモチ


 「もうすぐお兄ちゃんだね」「お姉ちゃんだから、赤ちゃんにやさしくしてね」と、大きくなったお腹を見せながら上の子に優しく諭し続けて心の準備をさせてきたつもりでも、いざベビーが出現したら、どう受け止め、どう行動するかはその子次第です。目の前にあらわれた赤ん坊にとまどい、周りの大人がみんな赤ん坊に集中する中でジブンは見捨てられないかと不安、心配、嫉妬を感じ、ジブンの場所だったところ(ママのひざ、パパの隣、おもちゃのある部屋)を侵され大混乱、邪魔~って思う。下の子をジブンの家族の一員としてすぐに受け入れるようになるわけではありません。

 特に1~2歳は、身近な大人との愛着が完成していく時期。ママとの愛着関係を礎にしてイヤイヤ期を経ながら自立へと踏み出していくときに、基盤となるママとの関係が赤ちゃんの出現で揺らいでしまったと思えば不安になります。ママをジブンに取り戻そうと甘えたり、駄々をこねて気を引こうとしたり、自立以前の状態に戻ってしまうことも。3、4歳になって身辺自立もしているし、言葉が理解できている子でも、そうなることがあります。


赤ちゃん返りした上の子に、どう対応する?


「おっぱい、ボクも~」「ワタシも哺乳瓶で飲むの」
→おっぱいを飲んでいた頃のジブンに戻っているんです。「みてくださ~い、ここにも赤ちゃんがいますよ~」って、ママにお知らせしているんです。満足するまでやらせてあげて。うまく飲めなくて「今のジブンは、これを必要としないくらい大きくなったんだ」と実感していくでしょう。

「ボタン、できな~い」「くつ、はけな~い」「ママやって~っ」
→登園前によくあるパターンです。「できるでしょ!」と突き放さず、やってあげて。思いを聞いてもらったと安心感を取り戻すと、「これ、ひとりでできるし」と今のジブンのプライドを思い出し、やり始めるでしょう。

「また、赤ちゃんのせいでママがいっちゃった…」
→上の子がいちばんイヤがるのが、赤ちゃんの用事に遮られて、ひとつのことが最後までできなくなることです。「絵本を読んでもらっていたのに、赤ちゃんが泣いたらママ、ちょっと待っててね~って行っちゃって、戻ってこない…」。何も言わずに、おりこうさんにしている様子でも、心の中は不信感が渦巻き始めています。赤ちゃんを抱っこして戻ってきても「ママのおひざを取られた…」と嫉妬して「もういい」って行っちゃうかもしれません。
 上の子のテリトリーに許可なく下の子を連れ込まないであげてください。「赤ちゃん泣いちゃったから、抱っこしながら読んでもいい?」と上の子の許可をとりましょう。

「じぃじに手伝いに来てもらったら、上の子に何でも好きなものを買ってくれて、上の子が甘えきっている」
→非常時なんだから、大いに甘えていいんじゃないでしょうか。おねだりしたら叶うって満足感も大事。

「こんなことまで上の子の言うことを聞いていたら、わがままにならないでしょうか」
→上の子はココロが大混乱しているんです。非常事態になった上の子の気持ちを受け止め、丁寧に対応してあげて。めんどうくさいかもしれないけれど、ひとつひとつ小さなステップが大事だったりします。


ママはどうなる?!


 下の子が生まれるとホルモンの関係もあって、ママは赤ちゃんが大事、カワイイ、ワタシが世話しなきゃモードに入ります。一方、家事、育児、自分の体調管理でいっぱいいっぱい、目の前のことすら片づかなくなってストレスもたまってきます。そこに「まま~、みて~、あのね~、あそぼ~、やって~、なんで~、できな~い、いや~、いた~い」とあの手この手の余計なシチュエーションを演出して、かまって攻撃で迫ってくる上の子に向かって「うるさい、わずらわしい」といった感情がふつふつと湧いてきて、上の子のイヤなところばかり目に付いて、イライラして、冷たい態度をとったり、思い切り叱ってたら、ワタシの顔色ばかりうかがってくるようになり、下の子も泣いてばかり…。どちらにも中途半端にしか接してないのではという罪悪感で、自己嫌悪の無限ループに陥るのは、よくあることです。

 二人の子どもに対応するのはパワーがいります。まずは誰かに子どもを見てもらってゆっくり寝ましょう。次の一歩に進む前にエネルギーをたくわえなきゃ。だからこそ、産後はしっかりサポートしてくれる人が必要なんです。


サポートしてくれる人は誰?


 産後は自分の身体もしんどいし、新生児をあちこち連れ出すわけにもいかない、でも上の子をがまんさせてばかりではかわいそう、上の子と遊んだり見てくれる人がいたら…誰が何をして何ができないかを家族で役割分担し、外部のサポートにも頼りながら、産後の生活を組み立てます。先輩ママはどうしたでしょう?


【入院~産後】ばぁば出動!


 上の子の生活が変わらないように「ここにいくといいよ」とPAKUっ子カレンダーに○をつけて園庭開放や児童館に連れて行ってもらったり、リフレッシュ保育(※1)を予約してばぁばにも休憩してもらって、乗り切りました。
※1 公立保育所によるリフレッシュ預かり保育事業 
http://www.city.nagoya.jp/kodomoseishonen/page/0000096264.html


【産前産後】産前・産後ヘルプを利用


 次の子はなんと双子!上の子もいるので妊娠中から産前・産後ヘルプ事業(※2)を利用して、ヘルパーさんに来てもらいました。買い物や食事づくり、簡単な家事もお願いできて本当に助かりました。上の子も遊んでもらって、満足できたと思います。
※2 産前・産後ヘルプ事業 
http://www.city.nagoya.jp/kodomoseishonen/page/0000096194.html


【産後】実家プラスαに手伝ってもらう!


 上の子は保育園に行っていたので、里帰り出産せずにこちらで産みました。保育園の送りはパパ。お迎えは、近くに住む義父に産後3週間頼みましたが、都合がつかない日があったので、のびサポ(※3)に頼みました。
※3 のびのび子育てサポート事業 
http://www.kosodate.city.nagoya.jp/kids/nobinobi.html


【産後】パパの育休


 上の子が2歳半のときに下の子が生まれました。産後はパパが1ヶ月の育休(※4)をとり、家事や上の子の保育園の送迎などをしました。産休前まで共働き生活をしていたから、家事もスムーズに任せられましたし、上の子もパパがいるから甘えられて、安定していたと思います。
※4 昨年度の男性の育休取得率は5.14%(厚生労働省)。
産後2ヶ月以内に育休以外でもなんらかの休暇をとった父親は55.9%、休暇の合計日数は、6日未満が7割(内閣府、2017年)。


家族の一大事は、家族で


 家族が増えるのは家族の一大事。今までの生活が混乱するのはあたりまえです。パパもママも上の子も、それぞれの関係を少しずつバージョンアップさせないと。家族で過ごす時間を費やして、下の子がいることが日常になって、新しい関係に慣れてくると上の子は、ジブンもベビーも家族の大事な一員なんだと理解を始めるでしょう。ジブンも大事にされている、パパにもママにも思いを聞いてもらっている…そう思ったとき上の子は、下の子も大事にしよう、下の子の思いも大事にしようって、すとんと理解していくのでは。

 そこに至るまではある程度の時間がかかります。ここは親の踏ん張りどころです。現実には、忙しさに押されてママ一人では丁寧に対応できないから、二人子育てスタートラインの時期には家事や送迎、日常生活、上の子のケアを手伝ってくれる大人がもう一人いてほしい。だからパパは育休を…、せめて早く帰ってきてほしい。

 それぞれができることをうけおって、家族の変化を乗り切りましょう。時が経ち、こなれてくると、道は開けるはず。


ふたりっ子育ても大変!
    中京大学心理学部 教授 小島康生


 子育て不安や育児ストレスのことがたびたび取り上げられますが、意外に知られていないのが「ふたりっ子育て」のことです。

 二人目の子どもができた人に対しては周りもつい「初めてじゃないんだし大丈夫でしょ」と言ってしまいがちですが、じつはそんなことはありません。ふたりっ子育てには、初めての子育てとは違った大変さがあるのです。

 ふたりっ子育てが始まった当初、もっとも大変なのは、やはり上のお子さんへの対応でしょう。赤ちゃんができた途端、「お兄ちゃんでしょ!」「さすがお姉ちゃん!」と自立心をくすぐるような扱いをしがちですが、本当は上の子だってたくさんの世話が必要です。ですから、赤ちゃんの世話に集中できる一人目のときとは違って、ふたりっ子育てでは、手のかかる子どもが上にもう一人いて、しかもその上の子どもには今までのようにかかわってあげられないことがポイントなのです。

 「赤ちゃん返り」という言葉がありますが、あれは健気(けなげ)にも自分が赤ちゃんであるかのように振る舞うことで、お母さんの注意を自分に向けようとする行動なのだといいます。

 しかし、そうした赤ちゃん返りは、お母さんにとっては「厄介なこと」と感じられることも多いでしょう。ある調査によれば、上の子がお母さんの手をわずらわせるのは、お母さんがおっぱいをあげているときだといいます。上の子は「ボクもここにいるよ」という気持ちをここぞとばかり伝えようとしているのでしょうが、お母さんにしてみれば「よりによってこのタイミングで!」と、子どもの思いとは反対にイライラを募らせ、感情的に怒ってしまうことにもなりかねません。

 赤ちゃんの動きが活発になって自己主張が強くなってくると、今度はきょうだいげんかが始まります。よくあるのは、赤ちゃんが上のお子さんのおもちゃを勝手にさわって、こわしてしまうなどがきっかけで、上のお子さんが赤ちゃんを叩くというようなケースです。こうなるとお母さんはますます目が離せなくなり、しかも どうしても赤ちゃんをかばう対応をしますから、上のお子さんはいよいよ不満をあらわにし、攻撃的になったり、反対に元気がなくなってしまうようなことも出てきます。

 では、ふたりっ子育ての大変さにはどう対処するのがよいでしょうか。ひとつには、他の人を巻き込むことでしょう。私たちがかつて行った調査では、お父さんと上のお子さんとのつながりが強い家庭ほど、赤ちゃん返りが少なく、お母さんのストレスも低いという結果でした。そしてそれは、お父さんでなくてもよいはずです。もう一人、大人がそばにいるだけで、お母さんは煮詰まった状況から解放され、一人ひとりの子どもにも目が向かいやすくなるはずです。ふたりっ子育てでしんどい思いをしているお母さんたち、どうか一人で抱え込まず、周りの人を巻き込んで少しでも楽になる手立てを考えてみてください。

(PAKUっ子2009年4月号寄稿を一部改訂)


2018年8月号
二人目育児 上の子 下の子 赤ちゃん返り パパの育休


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