PAKUっ子特集アーカイブ

おそとであそぼ!プレーパークからのメッセージ

 自然にあふれたひろーい天白公園の一角で20年以上、子どもの自由な遊び場を運営している地域の団体てんぱくプレーパークの会の代表、沢井史恵さんに、お外遊びの楽しさを話していただきました。


てんぱくプレーパーク
火曜〜金曜、第3土曜と翌日曜。11時~18時。
http://tenpaku-playpark.net/

てんぱくプレーパーク


 天白公園の広い原っぱと大型遊具のある広場の間の、少し小高くなっているところにある小屋をごぞんじですか?てんぱくプレーパークは、この小屋を中心に道具や水、たき火も使っていろんな遊びを自由に楽しめるところです。「三輪車や足でこぐ車もあるけど、使っていいの?」「会員みたいな人しか入れない?」「大きい子がわいわいしていて、小さな子は邪魔かしら」…もしそんな不安を感じていたら、すみません。大丈夫です、無料です、誰でも自由に遊べます。坂を上がってきてください。いろんな年齢の子どもや大人が遊んだり、お茶を飲んだり、しゃべったり、ぼーっとしたり、思い思いに過ごしています。

私の子育て@プレーパーク

 プレーパークの代表をするような私はさぞかし自然大好き子育てをしてきたのでは、と思われるでしょうか。確かに自分自身は名古屋近郊の、のどかな環境で幼少期を過ごしたので、土の匂いのする所で子育てしたいと漠然と思っていました。縁あって天白に引っ越してきて、天白公園をベビーカーで散歩したときに見かけたてんぱくプレーパーク。楽しそうな、でも何だか近寄りがたい感じ…というのが第一印象でした。

 気になってはいたけれど、なかなかそこにいる人に声をかけるのがためらわれ…そんなとき、親子で週1回プレーパークで遊ぼうというプログラム「森はともだち(今は森のひろば、という名前になっています)」に申し込みました。当時、子どもは2才と0才。赤ちゃんでも大丈夫ですよと快く受け付けてもらって、不安が減りました。さて始まったものの、先生がいるわけでもなく、子どもは勝手に遊び、当番の親はたき火で「おやつ」を作るけどそれ以外は子どもを見たり、なんとなくしゃべったり…そのゆるくて自由な雰囲気が気に入りました。子どもを四六時中監視しながら「ダメ!」「あぶない!」「ごめんね」なんて周りに気を使ってわが子の思いとは別のことを言わずに、みんなでゆったり子どものすることを眺めている。広場の遊具で遊ぶ親子もいれば、その場に座り込んでひたすら地面を棒でほじくっている子もいる。「○○しましょうね(=しなければならない)」ではなく、子どもたちが「やってみたい」ことを存分にできる。できたての「おやつ」を食べながら、おしゃべりできる。10回のコースに参加するうちに、そのまま仲良くなったお友だちと毎週、集まるようになりました。

 家のそばの公園に出かけてみても、いるのは私たち親子だけという日も多く、心が折れそうになっていた頃でした。プレーパークに行けば誰かいる、誰かと会話ができるというのは、当時の私にとって、とても大きな安心感でした。流行していたビーズを教えてもらったのも、プレーパークだったなあ。文字通りの青空教室です。子育てで同じ価値観を持った仲間との出会いは、かけがえのない財産です。

 外遊びというと遊具、かけっこ、おにごっこなど身体を動かす活動的な遊びのイメージかもしれませんが、うちの子は草や花をつんだり、砂遊びしたり、水を混ぜて泥だんごづくり、ままごとやごっこ遊びなどをしていた方が多かったかもしれません。わーわー走りまわったり、大胆に水をまく他の子達を遠巻きに眺めるだけの時もありました。それでも私自身が行きたくて、子どもと一緒に毎日プレーパークに通うにつれて、子どもたちも親から離れて、お友だちと園内を自由に遊ぶようになっていきました。活動的ではない我が子たちでしたが、暑い日も寒い日も、晴れの日も雨の日も外で過ごしていたので、体力だけはつきました。風邪をひいても、回復が早かった気がします。

 さて幼稚園に入ると幼稚園仲間から「そんなに毎日、公園で遊ばせて不安にならないの?」と、「習い事させなくていいの?」というニュアンスで聞かれたことがありました。でも毎日、「やってみたいこと」を、自然豊かな天白公園(空間)で、日が暮れるまで(時間)、気の合うお友だちと(仲間)遊んでいる我が子たちの表情を見て、幼児期に必要なのは、自由な遊びを担保することだという確信があったので、全く気になりませんでした。その頃から全国のプレーパーク活動や子どもの遊び、発達について本を読んだり、話を聞いたり、みんなで学習会を始めていたので「小学生になるまでは子どもの生活の真ん中は遊びだ」「これでいいんだ」という大きな自信もつけていました。


「遊び」って何だ?


 プレーパークが近所の公園と違う特徴のひとつが、プレーワーカー(プレーリーダーとも言います)という子どもの遊びを見守る大人がいることです。全国には現在400ヶ所以上のプレーパークがあり、多くのプレーワーカーが活躍しています。日本で初めてプレーワーカーになった天野秀昭さんの講演会でのエピソードを紹介します。

 天野「おにごっこを遊びだと思う人?」  
 参加者「はーい!」
 天野「では、今はおにごっこをしたくない気分の時に、おにごっこをさせられたら、それは『遊び』ですか」
 参加者「…」

 天野さんが言うのは、遊びの本質は「やってみたい」という心の動き。楽しそう、おもしろそう、だからやってみたいと動き出す「快」の世界だと。身体を動かしたり、意味がありそうな遊びばかりに目が行きますが、そうではなく、子どもの心が動くことが遊びなんです。うちの子がじっと動かず水まきをしている他の子を眺めていたように、小さな子が少し大きな子の遊びを見入っているように、頭の中で一緒に遊んでいることもあるんだよ、ほらこのイキイキとした表情、きっと、この後にあの子の真似をすることがあるんだよ。「真似る」って「学び」に直結していくんだよ。人のやっていることをじっと見る。同じことを真似してみる。うまくいかない。何でだろうと再度挑戦してみる。工夫する。やっぱりうまくいかない。そんなことを繰り返しながら、いろんなことを体得していく。遊びを通して学びの基礎ができあがっていくんです。今はやりの「学びに向かう力」ですね。そして、そんな興味をそそるモノ、自由に使えて自由に形を変えられて、毎回違う形をみせるモノが自然の中にはあふれているんです。雨が降っただけでも、草の匂い、水たまりから長靴に伝わる水の感触、ほじくりやすくなった砂…昨日と違う新しい刺激が、新たな遊びを生みます。

 「私、外遊びをあんまりしたことがないので、子どもとどう遊んだらいいかわからないんです」とお母さんから相談されたことがありました。誰でも、自分が経験したことがないことはできないものです。遊び方がわからないなら、遊んでいる子がいるところに出かけて、一緒に遊べばいいのです。ゆっくり、じっくり大人が関わっていけば、子どももリラックスして徐々に遊び始めることでしょう。大人もここ楽しいな、この遊びおもしろそう、と思えると良いですね。


遊び=スキル!?


 遊びを通じて将来に役立つスキルが身につくか、なんて身もふたもない話をしますが、さて、たき火をうまくつけられるようになるとか、泥団子が上手に作れるとか、べっこう飴をつくる砂糖と水の配分と火加減がわかるとか、木材をキレイに切れるとか、虫や草や木の実や風向きで季節の変わり目がわかるとか、「英語ができる」「スイミングができる」よりも地味すぎて、スキルと言えるかさえわかりません。でも、毎日の遊びの蓄積はきちんと糧になるようで、夢中になって遊び込む間に集中力が身についていきます。こうしてみようという創造力や、周りの子と一緒にやりたいという共感力も培われます。どれもAIが苦手とする能力。ちょっと早めに知識を詰め込んでも所詮、人間はAIにはかないません。それよりも、とことん遊ぶ方が、人間にしかできない力がつくんです。

 プレーパーク仲間の子が小学生からクラブチームでサッカーを始めましたが、他の子に比べて、ケガをしにくいとのこと。小さいときから起伏のある山の中で遊んで、体幹が鍛えられたおかげかなと話していました。プレーパークの裏の「冒険の山」で、山鬼ご(山の中で鬼ごっこ)をしていると、大人でも足がすくむような斜面なのに、皆、身のこなしが軽やかで、絶妙にバランスをとっています。怖いところはとっさに身体が反応してお尻で滑り下り、また立ち上がって木の根っこを飛び越えながら駆け降りる…毎日の外遊びがトレーニングになっていたのかな。

 「遊び」を通して子どもは自分自身を育てます。幼児期は「遊び」を子どもの生活の中心に据えてほしいのです。ヒントはプレーパークにたくさん、ころがっています!遊びに来てね!


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