PAKUっ子特集アーカイブ

おすなば実況中継~時間・空間・仲間、そして先生がいる環境で~

 遊びは子どもの生活そのもの。遊びながら体も心もアタマも成長します。でもママが一人で子どもに毎日とことんつきあうのは実はけっこうしんどい。どんなところで、どうやって遊ばせればいいかも悩みますよね。そんなとき、経験豊かな先生が一緒に遊んでくれると、いろんな気付きがあり、遊びの幅も広がり、楽しさがふくらみます。そんな実例を、幼稚園教諭の経験を活かして天白で30年以上、幼児教室を主宰されている「幼稚園ごっこ」の田中峰子さんに、おすなば遊びを通して、見せていただきました。


幼稚園ごっこ
少人数の家庭的な雰囲気で、いろんな遊びを楽しみます。水遊び、粘土や絵の具、歌やリズム遊び、遠足、みかん狩りなど。毎回、手作りおやつでティータイムも。1歳半~入園前の親子対象(弟妹も一緒にOK)。主宰者の自宅にて(天白郵便局そば)。月3回水曜午前、4800円より。随時体験OK(要予約)。
http://youchiengokko.kids.coocan.jp/

おすなば実況中継  5月某日 晴れ

10時 お出かけの準備

 1歳半~2歳すぎの6組の親子が参加しました。朝のごあいさつをしたら、帽子をかぶって、日焼け止めクリームを塗って、お出かけの準備です。

田中先生の声かけ
 自分のおすなば道具を持ってきた子は、持っていってお友達に貸してあげてね。先生の道具もあるから、みんなで使おう。


10時10分 出発!


 公園は目の前にありますが、各親子のペースでチェックイン。砂場めがけて一直線の子もいれば、公園の周りを少し散歩したり、ブランコ乗ったり、すべり台をよじのぼってから合流する子も。


10時15分 すなばの準備


 先に砂場に着いた組が、砂場にかけてあるネコよけシートを外します。早速、砂場にとびこんできた子が、表面にできていた溝に足をとられて転びました。泣かず動じず立ち上がって、スコップ片手に掘り始めます。まもなく蚊が飛んできました。

田中先生の声かけ
 殺虫剤よりも、除虫成分入りの蚊取り線香で忌避する方が体にやさしいです。ママ達、マッチで火をつけるのは久しぶりみたいなので、お二人ずつでお願いします。


10時20分 それぞれ遊ぶ&ママの出番


 全員が砂場に集合しました。それぞれが好きな場所をみつけて思い思いに遊び始めます。カップに砂を入れて、縁石にひたすら並べる子。カップを逆さにしてプリンにするのは、まだ難しいからママが手伝います。お尻を少し浮かせてスコップで砂を掘っている子。お尻をつけてバケツに砂を集める子。足もお尻もべったり座り込んで、ひたすら足に砂をかけて感触を存分に味わっている子。それぞれが、自分の周囲の砂に集中しています。一緒にいるんだけど、お互いを気にしていない感じです。ずっと同じ遊びを続ける子もいれば、すべり台をやって砂場に戻って、またすべり台…と遊び始める子も。

 そして、ママの出番。大きなスコップで砂場全体を掘り返すことにしました。6人のママが順番に掘り返します。

田中先生の声かけ
 この年齢は、お友達と一緒に何かをする、というよりも一人ずつ好きなことをやる時期。かかわって遊びはしないけれど、そばにいる子の真似はしたいから、お友達の使っている道具が気になることもあります。

 集中力も子どもによっていろいろです。砂場に絶対いなきゃいけないわけじゃないですし、自分がやりたいことを、行きたい場所でやればいいんです。

 ママは交代で大きなスコップで掘り返してください。こんな作業、初めてですか?!皆さんけっこう上手ですし楽しそう。ママが楽しければ、子どもも嬉しくなる。掘り返してふかふかになった砂は感触がよくて魅力的な材料です。


10時40分 みんなで山をつくろう


 ふっくらした砂ができました。ママ達が大きな山をつくります。ママの動きが気になった子どもたちが、自分のスコップで山を崩しだします。ママ達は山を高くし、周りを固めながら、下にトンネルをほっていきます。トンネルが開通したら手をつっこんで、ママと子どもで握手!子どもたちはトンネル越しの握手には、きょとんとしていました。握手が終わったらみんなで山を崩します。

田中先生の声かけ
 共同で大きな山をつくるのは、幼稚園くらいの年齢にならないとできないので、今はママにやってもらいます。本当はパパ達が得意ですので、ぜひやってもらってください。トンネル越しの握手は見えないから、子どもたちには訳がわからないけれど、実はママの方がワクワクします。


10時45分 おかたづけ


 バケツに水をくみ、砂場道具を軽く洗います。砂場にシートをかけてから、お部屋に戻っておやつタイムです。

田中先生の声かけ
 この大きなバケツにお水をくんできて。重いの持ってきてくれたね!道具をお水の中でごしごししよう。きれいになったかな。
 …水道で洗うとお水が楽しくてその場で水遊びが始まってしまいます。だからバケツの中でゆすいで片づけに集中させます。


遊びの仲立ち役として~田中先生の解説


 先生として特別なことを教えるのではなく、親子の遊びが広がり、いっしょにいる親子同士で楽しく過ごせるように入念な準備と環境設定をします。ママ達が協力的で、いろいろ気を配ってやってくださるのは、とても嬉しいことです。

 たいてい年齢より少し先、幼稚園で取り組むような遊びをして、次に親子で遊ぶときのアイディアにしてもらいたい。何よりママに楽しんで笑顔になってもらいたいです。

 砂遊びに慣れてきたら、砂場に水路をつくって水を流して、どろんこをすることもあります。7月に入れば、ビニールプールで水遊び。どろんこは足下が見えなくなるので、不安になるお子さんもいます。水遊びの方がハードルが低いかも。どれも、みんなで準備や片づけをするから、1人でやるよりラクです。

 ママ達が遊びの準備をしたり作業をしている間は、自分の子どもと離れますね。それがいいんです。自分の子どもをずーっと1人で見ているよりも、大人2人で3人の子どもを見る方がラクな時もある。ずっと1対1はしんどい。定期的に顔を合わせ、なじみになって、この子はこういうタイプ、こんな遊びが好きってわかっている仲間と時間を過ごす方が楽しい。子どもたちも、ぜんぜん互いにかかわっていないようでも、絶妙な距離感で同じ空間にいます。いっしょにいたい、嬉しいって思ってるんでしょう。

 お友達に砂をかけちゃった子がいました。「ダメ!ごめんね」と大人がすぐに口出ししてしまいがちですが、子どもは「ダメ」な意味がわからない。「自分が気持ちよいこの砂は、横にいる子も気持ちがよいだろうから、ダメな行為ではない」と思うかもしれないのです。もちろん顔やお口にかかる時は、すぐにやめさせます。そして「自分が気持ちよくても、相手はイヤがることもある」と知る必要があります。ただ、相手の気持ちがわかるようになるのは少し先なので、それまでは大人が適切な声かけをしながら、「これはやっちゃいけない」「こういうときはこうする」という集団でのマナーを覚えてほしい。そのプロセスをママ同士も関わりあいながら理解していく、そのサポートをしています。

 お子さんのタイプによっては、子どもが集団遊びが苦手だったり、ママがストレスを感じたり、いろいろあるでしょう。仲立ち役のなじみの先生がいて、なじみの仲間がいることがストレスを減らすこともあるので、一歩踏み出してこういう所に参加してもらえるといいかなと思います。


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