PAKUっ子特集アーカイブ

イベントもプログラムもない。何もなくても心地よい。って?

 3歳くらいまでの子どもと保護者がほぼ毎日ふらっと行けて、予約もいらなくて、無料で、いつ行ってもいつ帰ってもよくて、スタッフに相談もできて、同じくらいの子どもと遊ばせられる…そんな場所が「地域子育て支援拠点」。名古屋市が運営委託しています。天白では各中学校区に1~2ヶ所、全8ヶ所があります。保育園の中にあったり、独立した建物だったり、マンションの1室だったり、駐車場はあったりなかったり、立地や運営する団体もさまざまで、場所によってそれぞれ個性があります。いろいろまわって、自分たち親子が行きやすい、なじみやすい拠点をみつけて通っている方も多いでしょう。PAKUっ子カレンダーにも情報を掲載してますが、各拠点もそれぞれニューズレターを発行して各月のプログラムを案内しています。でも1ヶ所、プログラムもイベントもニューズレターも何もない、っていう拠点があるんです。

 植田駅前にある「きゃら」です。何もしないってどういうこと?お話を伺ってきました。


植田の駅前、目の前は公園。立地が良くて広報しなくても人がくるから、あえてプログラムをしないんですか?

 いえいえ、何もしないというわけではありません。月に1回は子育て講座をしています。薬剤師さんや作業療法士さんを講師に招いたり、大学の先生にわらべうた講座をやっていただいたり。それ以外のプログラムはしません。
 「きゃら」という名前の通り、一人一人を大事に、個性を大切に、のんびりおだやかに、この場所では過ごしてほしいと思っています。いつきてもいいんだよ、どんな話をしてもいいんだよ、いつでもこの場所があるよ。ということで、あえてノンプログラム。そして、あえてひっそりと開けているつもりです。でもありがたいことに、毎月600~700人の方が利用してくださっています。市内の中ではかなり多い利用人数だと聞いています。


朝の会とか、手遊びとか、ふれあい遊びとか、そういうみんなで一緒に楽しむ時間みたいなのもない?


 ないです。絵本の読み聞かせもしないです。親子でじっくりのんびり絵本を読んでほしいし、読みたいときに読むのがいいかなと。


仲間作りのための、交流タイムとかも?


 あえて時間はとってないです。もちろん初めていらした方には、同じくらいの月齢・年齢のお子さん同士で遊べるように声をかけたり、引っ越してきたばかりという方には、同じような転勤族ママにつなげられるよう、おしゃべりの話題を持っていったりしてますが、「子育て仲間をつくってね」「LINE交換したら」みたいな声かけや雰囲気作りはしていません。


これだけですか?何もないんですか?って、言われることありませんか?


 言われないですよ。みなさん、自由な時間に親子でふらっと来られて、思い思いに遊んでいます。決まった時間に決まったことをしているという時に来ちゃって、入りにくい…とならないように、また、小さいときは個人差も大きいし、何かをするというよりも、あえて何にもない方がのんびりできますよね。


スタッフは何をしてくれるんですか?


 心がけているのは来てくださった方、大人にも子どもにも全員に声をかけ、おしゃべりしながらそれぞれが心地よく過ごせるようにしていく…です。きゃらのスタッフは全部で3人なので、毎日来ても誰か同じスタッフと顔を合わせることになります。いつものスタッフがいて安心、と思っていただけますし、こちらも親子さんの顔と名前を把握できます。「この前の話なんだけど…」って感じで会話をスムーズに始められ、どんどん話が続いていきます。


相談を受けるとかは?


 子育て支援の場だから支援…って態度で「こうしなさい」とか「こうすればいいんじゃない」と上から指導はしませんし、「子育てでお困りのことありませんか」なんて聞いたりはしません。

 何度かおしゃべりしていく中で、なんとなくつらい気持ちを打ち明けてくださる方もいるので、そういう時は、1人の母親として同じ目線でお話を伺うようにしています。お子さんを大切に育てていて穏やかな感じのママが、実は子育てが辛い、自分はただの母親になってしまった、前みたいに輝けなくなった、と漏らされたこともありました。子どもが言うことを聞かない、イライラする、頭ごなしに怒ってしまう、自己嫌悪で子育てに自信がない、そんな話をされた方もいました。子どものために来た、と言った方が「大人と話ができて、自分の方が気分転換になった」とつぶやいてくださったこともありましたし、子どもが夜、寝てくれないと疲れ切ってしゃべる気力もない方が、うたた寝していかれたこともありました。また、お子さんは園に通うようになって拠点にはもう来れないけれどママだけがふらっと来て話をしていかれる方もいます。植田という土地柄か、転勤族やワンオペ育児でがんばっている方が多く、何かと話を聞いてくれたり頼れる人がいないっていう悩みも伺っています。

 何度か顔をあわせ、お話ししているうちに、もっと話をしたそうな雰囲気になって、ちょっと静かな場所へ移動したり、隣のお部屋でお話を、という感じです。


話を聞く、ですか。


 私たちスタッフにとって、親子さんはみんな特別な、大切な存在です。ここに来て居心地よくゆっくりできるのなら、それが何より。お話を伺うことで力になれることがあったら…と受け止めさせていただいているつもりです。
 逆に、私たちが力を貸してもらうことの方が多いかも。お話をする中で多彩な経歴やスキルをお持ちだということがわかり、きゃらが力不足のところを相談すると、あれよあれよという間に協力していただくことも多いんです。このチラシも、掲示物も、手作りおもちゃも、ロゴ入りの小物も、ぜんぶ、ママ達の協力なんですよ!私たちの方が、人に恵まれて、支えられているんじゃないかな。


遊びに来ていた親子さんに伺いました。今日はどうしてここに?


・近いから。ここに来れば顔見知りの人がいるし。お昼も食べられるし。のんびり過ごせる(笑。
・ちょっとツラい時があって、その時に来て、スタッフが声かけてくれて、やさしくて、子どものこともさりげなくフォローしてくれて。大変なときを知ってくれている。子どももきゃらが大好き!


何もプログラムとかないけれど、どうですか?


・ぜんぜん気にならない。お昼の時間も決まってないし、3時で終わるときの声かけもないですよ。
・えー、いらないですよ。だって、おいでって言ってもじっと座ってないもん。
・そろそろきちんと座って話を聞けるような経験もさせようかと思って、読み聞かせとかいいのかなと思ってるけど、別にここじゃなくても他の場所でやってるし、ここはこれで心地よいから、なくてもいいかな。


そうそう、隣の植田公園の雰囲気が変わったとか?


 きゃらがオープンしたのは2017年秋なんですが、その時は公園で遊ぶ親子さんはほとんどおらず、砂場も草ぼうぼうでした。昨年秋とこの2月に、てんぱくプレーパークの方を講師に、外遊び体験をしてみたんです。どろんこやって、どんぐり混ぜて、自由に遊んで…。そしたら「子どもって、こういうの好きなんですよね」「何十年かぶりに、どんぐりにさわった」とおっしゃるママもいて。
 すると自然に、きゃらに来て、公園行って、きゃらに戻ってお弁当食べて、また公園行って…なんて遊び
方をするのが定着していきました。子どもたちの声がする公園に変わっていき、公園が喜んでいる!そうきゃらには聞こえてきます。 


地域子育て支援拠点 きゃら
月~金10時~15時(除祝日)。月1回、土曜開所。植田3-109 アーストンビル201(植田駅バスターミナル前、1階は歯科)。Pなし、周辺にコインP有。自転車やベビーカーは1階に置けます。
8月から電話番号が変更しました! Tel 875-7575
運営団体:一般財団法人こども財団
http://kodomozaidan.com/

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